3×3行列以上の逆行列の求め方【掃き出し法】

はじめに

3×3行列以上の逆行列を求めるには「掃き出し法」と「余因子を用いた方法」で逆行列を求めることができます。

この記事では掃き出し法を用いて3×3行列の逆行列の求め方について説明します。

掃き出し法とは

掃き出し法

ある正方行列Aの右側に単位行列Iを加え[A I]とする。[A I]を行基本変形し[I B]の形に変形する。
この行列BがAの逆行列${\boldsymbol A}^{-1}$である。

例題

それでは掃き出し法を使って実際に問題を解いてみましょう。

例題

 ${\boldsymbol A} = \begin{pmatrix}2 & 3 & 1 \\ 2 & 1 & 1 \\ 1 & 0 & 2 \end{pmatrix}$ の逆行列${\boldsymbol A}^{-1}$を求めよ。



例題の解説

行列${\boldsymbol A}$の右側に単位行列を加えます。

 $\begin{pmatrix} 2 & 3 & 1 & 1 & 0 & 0 \\ 2 & 1 & 1 & 0 & 1 & 0 \\ 1 & 0 & 2 & 0 & 0 & 1\end{pmatrix}$

この行列に対し行基本変形します。
1行目と3行目を入れ替えます。

 $\begin{pmatrix} 1 & 0 & 2 & 0 & 0 & 1 \\ 2 & 1 & 1 & 0 & 1 & 0 \\ 2 & 3 & 1 & 1 & 0 & 0\end{pmatrix}$

2行目に(-2)倍した1行目を加えます。
3行目に(-3)倍した1行目を加えます。

 $\begin{pmatrix} 1 & 0 & 2 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & -3 & 0 & 1 & -2 \\ 0 & 2 & -5 & 1 & 0 & -3\end{pmatrix}$

3行目に(-2)倍した2行目を加えます。

 $\begin{pmatrix} 1 & 0 & 2 & 0 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & -3 & 0 & 1 & -2 \\ 0 & 0 & 1 & 1 & -2 & 1 \end{pmatrix}$

1行目に(-2)倍した3行目を加えます。
2行目に(3)倍した3行目を加えます。

 $\begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 & -2 & 4 & -1 \\ 0 & 1 & 0 & 3 & -5 & 1 \\ 0 & 0 & 1 & 1 & -2 & 1 \end{pmatrix}$

これで[I B]の形に変形することができました。
よって行列${\boldsymbol A}$の逆行列${\boldsymbol A}^{-1}$は、

 $\begin{pmatrix} -2 & 4 & -1 \\ 3 & -5 & 1 \\ 1 & -2 & 1 \end{pmatrix}$ となる。

 

追記

今回は、掃き出し法を用いて3×3行列の逆行列の求め方について解説しました。
計算量は多くなりますが、4×4以上の行列の場合も同様の求め方でできます。



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